2012年12月26日水曜日

ベトナム特許法


「発明」のQ&A

Q.ベトナムに進出して、現地で商品の生産および販売を行う予定です。そこでベトナムの特許制度について、日本の特許制度と比較しつつ教えてください。

A.

1.ベトナムの概要
(1)ベトナムは、総面積が約33万km2 、総人口が約8800万人、首都はハノイ、公用語はベトナム語です。日本の特許法等に相当する法律として、知的財産法が2006年7月1日から発効されています。
(2)ベトナムが加盟している知財に関連した主な条約として、パリ条約 、WIPO条約、PCT条約、マドリッド協定などがあります。

2.特許出願の手続
(1)出願書類
 特許出願に必要な書類は、明細書、クレーム、必要な図面および要約を公用語であるベトナム語で提出する必要があります。この点は日本と同様です。
(2)その他の書類
 ①委任状は、出願日から3ヶ月以内に提出します。
 ②優先権証明書は、出願日から3月以内に提出します。
   日本では、最先の出願日(優先日)から1年4月以内です。
 ③優先権証明書の翻訳文は、出願日から3月以内に英訳文を提出します。
   日本では、翻訳文の提出が不要です。

3.特許出願の審査
(1)特許要件
 発明が不特許事由に該当せず、新規性、進歩性および産業上の利用性を有することが要件です。全体的に観れば、基本的に日本の特許要件と同様です。
 ①不特許発明:次の発明は特許を受けることができません。
  ・ 科学的な発見や理論、算術的方法、コンピュータプログラム
  ・ 精神的活動を遂行するための主題、計画および方法、遊戯方法
  ・情報の呈示
  ・動植物の品種
  ・人体および動物の病気の予防、診断および治療方法
 ②新規性
  ・公知、公用および刊行物公知により新規性を喪失します。
  ・基準は出願日であり、世界主義です。
  ・新規性喪失の例外規定もあり、公知日から6月以内出願することが条件です。
 ③進歩性
    当業者が公知発明等に基づいて容易に発明できなかったことが要件です。
 ④産業上の利用性
    発明が、同一物の大量生産や反復継続的な結果を達成できれば、この要件を満たします。
(2)審査査手続
 ① 願書・明細書等が提出され、出願費用が支払われることにより、特許出願は方式審査の対象とされます。
 ②特許出願は、出願日(または優先日)から19月後に公開されます。
  日本では、18月後に公開されます。
 ③日本と同様に、出願が公開されると、第三者は情報提供をすることができます。
 ④出願日または優先日から42月以内に、審査請求のない出願は取り下げ擬制されます。日本では、現実の出願日から3年以内に審査請求をしなければなりません。
 ⑤ 特許要件が満たされていないと審査官が判断したとき、応答期限を指定して拒絶理由が通知されます。これに対して出願人は意見書や明細書等の補正書を提出することができます。  一方、審査の結果特許要件を満たしていると判断した場合には、特許を付与すべき旨の決定がされ、必要な料金が納付されると特許が登録原簿に登録されます。その後、特許権者に特許証が発行されます。特許庁の決定に対して不服がある出願人は、その決定の日から3月以内に不服申立することができます。これらの点も、日本と同様です。

4.PCT出願の国内移行手続
 優先日から31月以内に、国内移行の請求書と国際出願の明細書等の翻訳文を提出する必要があります。
 日本では、優先日から30月以内に国内書面を提出すれば、翻訳文の提出には2月の特例期間が付加されます。

5.特許権の存続
 ①存続期間は、出願日(国際出願日を含む)から20年間です。
 ②年金は登録後1年目から納付する必要がありますが、出願中の納付は不要です。
   これらの点も日本と同様です。

6.特許後の手続
 ①無効審判
   第三者は、特許庁に特許の無効を請求することができます。
 ②特許明細書等の訂正
   特許権者は、明細書等の内容の訂正(誤記の訂正、特許請求の範囲の減縮)を特許庁に請求することができます。
  これらの点も、ほぼ日本と同様です。

 外国特許制度の詳細および具体的な事案についての判断は、専門家である弁理士等にご相談されることをお勧めします。

特許業務法人SANSUI国際特許事務所 代表弁理士 森岡 正往

2012年12月13日木曜日

冬期休暇のご案内

冬期休業日のご案内

弊所の冬期休業日について下記のとおりご案内申し上げます。
ご迷惑をおかけすることもあるかと存じますが、よろしくお願い申し上げます。




2012年12月29(土)~2013年1月6日(日)

(本年は12月28日まで、新年は1月7日より営業致します。)