2014年2月20日木曜日

特許料等の自動納付制度について

 特許権・実用新案権・意匠権(以下、「特許等」)は設定登録により発生しますが、その権利を維持するには存続期間の間、特許料・登録料(以下、「特許料等」)を納付する必要があります。特許等を維持する特許料等の納付は、数年分を一括して行なうこともできますが、権利の維持の必要性等を考慮しながら1年毎に行なうことも多いようです。

 特許料等の納付は所定期限までに行なう必要があり、この期限の管理は面倒であるばかりでなく、納付期限を徒過すると、権利が失効するという取り返しのつかないことになりかねません。また納付の手続は1件の特許等に対して1通の納付書を提出する必要があり、納付手続きも面倒なものです。

 そこで、平成21年1月から特許庁において自動納付制度が導入されています。この自動納付制度は、事前の申し出により、特許料等を1年単位で特許庁が自動的に予納台帳または銀行口座から徴収するようにしたものであり、納付忘れによる権利の失効を防ぐことができ、納付書を提出する手続きも不要になります。また特許料等の自動徴収の前に事前通知がありますので、権利の維持が不要な場合には納付を停止することもできます。


 [手続きの概要]

1.事前手続き

 自動納付制度は特許料等を自動で引き落とすため、(A)予納制度または(B)口座振替制度に基づく届出を事前にしておく必要があります。

 (A) 予納制度は、特許印紙を特許庁に予納しておき、納付の申出により、特許印紙の予納台帳から特許庁が手数料等を引き落とす制度です。

 (B)口座振替制度は、預金口座を特許庁に事前登録しておき、納付の申出により、預金口座から特許庁が手数料等を引き落とす制度です。

2.自動納付の申出

 自動納付制度を利用するためには、「自動納付申出書」を特許庁に提出する必要があります。「自動納付申出書」は書面で提出します(オンラインによる手続はできません)。この「自動納付申出書」だけでなく、自動納付制度に関する申請は書面による手続きとなりますが、電子化手数料は不要です。1通の「自動納付申出書」で1件の特許等を申請する他、1通の「自動納付申出書」で複数の特許等を併合して申請することもできます。「自動納付申出書」が受理されたときは、申請人にその旨が通知されます。

3.自動納付の終了

 自動納付を申し出た後でも、「自動納付取下書」を提出することによって、自動納付制度の利用を終了することができます。1通の「自動納付申出書」で複数の特許等を併合して申請した場合であっても、特許等ごとに「自動納付取下書」を提出することができます。「自動納付取下書」が受理されると、自動納付が終了した旨の通知がされます。

4.特許料等の引き落とし

 特許料等の納付期限の約60日前に、特許庁から「自動納付事前通知」で引き落とす旨の通知があり、納付期限の約40日前に特許料等が予納台帳あるいは預金口座から引き落とされて徴収されます。そして引き落としが完了すると、「年金領収書(自動納付)」が発行されます。
 「自動納付事前通知」を受け取った後でも、納付期限より40日以前に「自動納付取下書」を提出すれば、引き落としはされません。予納台帳や預金口座の額が不足するときなど、引き落としができなかった場合は、「自動納付適用除外通知」で通知されます。この場合には納付書により特許料等を納付する本来の手続きをする必要があります。
 尚、利害関係人などから当該年分の特許料等が既に納付されているときは、当該年分の自動納付の取り扱いを中止した旨の通知がされ、次年分以降の納付年分から自動納付による引き落としが再開されます。

5.特許料の軽減

 一定の要件を満たした場合には、第4~10年分の特許料が1/2又は1/3が軽減される軽減措置を受けることができます。

自動納付制度においても、第4~10年分の特許料の軽減措置を受けることができます。
 納付期限の前90日~120日に「軽減手続事前通知」が通知されます。特許料の軽減を受ける場合には、「特許料軽減申請書」を納付期限日前75日までに、管轄の経済産業局特許室に提出する必要があります。この申請が受理されると申請人に「確認書」が送付され、また特許庁の登録室に確認書番号が通知され、1/2に軽減された特許料が引き落とされます。納付期限日前40日を過ぎて確認書番号が通知された場合には、軽減されない全額が引き落とされることがありますが、返還請求すれば半額が返還されます。



 特許料等の自動納付制度は、納付期限の管理を簡略化することが可能になり、また納付書を作成して手続をする手間も不要になりますので、便利な制度です。活用されてはいかがでしょうか。「自動納付申出書」等の書式は前出の特許庁HPに掲載されていますが、自動納付は代理人によって手続きをすることもできます。

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